2022年11月OPEN!富山市初!【STEAM教育】のきっかけづくり、新しいかたちのこども塾です。

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STEAM教育とは

STEAM(スティーム)」とは、Science(科学)Technology(技術)Engineering(工学)Arts(芸術)Mathematics(数学)の頭文字を取った略語です。
そして、これら様々な分野を横断的に学び、それらを応用し、想像力や創造的な方法によって問題解決をはかることができる人材育成に力を入れる教育方針をSTEAM教育と呼んでいます。

もともとは、アメリカ経済で急成長している産業の、科学・技術・工学・数学を中心としたキャリアやカリキュラムを指す「STEM(ステム)」を教育フレームワークに統合する動きが勢いを増していました。こうしたSTEMカリキュラムの実施は、雇用機会の増加に端を発しており、実際、STEMに関わる職業は、他すべての職業の倍の速度で成長し始め、さらに、STEM関連の学位を持つ人々は、より高い収入を得ていました。経済が進化し続ける中、STEMワーカーはアメリカ経済の持続的な成長と安定に重要な役割を果たしてきたのです。
しかし、子どもに『効果的な創造性』と『批判的思考力(クリティカルシンキング*2)』を身に付けさせるには、STEMだけでは十分ではありません。 私たちの生活のあらゆる分野に影響を及ぼしているSTEAMは、より多くの関連性を指し、これらが単独ではなく他の分野とのつながりを持って存在していることを示しています。 STEAM教育とは、個別の分野にはない方法で、これらの分野を学際的*1な傘の下で包括し、子供たちが現実世界の問題について、より広く考えるように促す学習への統合されたアプローチといえます。
*1 )クリティカルシンキング… 物事や情報を無批判に受け入れるのではなく、多様な角度から検討し、論理的・客観的に理解すること。
*2 )学際的… 一つの専門領域とそれに隣接する他領域の間に存在する『中間領域』のこと。
「Arts、Art」をどうとらえるか、大きく二つの考え方があります。 一つは、「A」をリベラルアーツ*3のように幅広くとらえる考え方、もう一つは、イノベーション*4のためには美術やデザインによって創造性を鍛えることこそが大事だという、芸術やアートの創造性を重視した考え方です。

しかし、山内祐平氏(東京大大学院情報学環教授)によると、取り組む人がそれぞれの解釈で定義し、実践しているのが実情で、「正解」はないとのこと。日本でも両方のとらえ方がありますが、学校現場では、多くが『リベラルアーツ』としての定義で実践されています。

学習に芸術を取り入れることで、教育関係者は、体験型教育やコラボレーションのメリットを拡大し、創造性と好奇心を根底から促進することができるようになりました。
現在では、ビジュアルアート、言語、ダンス、演劇、聴覚芸術、デザイン、ニューメディアなどの分野がArtsに含まれるようになり、数ある学問分野の一つとして、テクノロジーと並行して教えられています。
*3 )リベラルアーツ… 職業に直接関係のない学問、芸術のこと。実用的な目的から離れた純粋な教養。
*4 )イノベーション… モノ・仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化を起こすこと。

”A”によってもたらされるもの

海外には、芸術を取り入れた科学実験の楽しさを実証し、学習だと気負わず子どもたちを夢中にさせる「STEAM」や「STEM」を紹介するサイトがたくさんあります。 また、こうした数々のアクティビティを教育現場や学位を持った専門家だけでなく、一般家庭の母親が実践、普及しているということも特筆すべき特徴ではないでしょうか。

「STEAM Explorers」を提供している「Left Brain Craft Brain」のAnne氏は、科学と工学に芸術を取り入れることの具体的な利点について、こう記しています。
  • アイデアの阻害要因を取り除きます(芸術には間違った答えはありません!)。
  • プロセスを重視することで、イノベーションの原動力となります。
  • 人や周囲の環境を観察する力を身につけます。
  • 空間認識能力や幾何学などの数学的概念が磨かれます。
また、同様にSTEAMアクティビティで有名な「Babble Dabble Do」のANA氏も、「創造的なプロジェクトを通じて、好奇心旺盛な子供たちや家族の強い絆を育むことができる。誰もがクリエイティブであり、創造することの醍醐味は、そのプロセスにある。」と説明しています。

STEAM教育の効果

長年にわたって科学教育を行ってきたクリスティン・クック博士(ベラルミン大学 アンズリー・フレージャー・ソーントン教育学部副学部長)は、「芸術を取り入れることは、個人の表現、共感、意味づけ、学習の目的をもたらす」と説明します。 また、芸術を積極的に取り入れている生徒の方が、そうでない生徒よりもスコアが高いという研究結果もあり、テレビを見る回数が減る、学校が退屈でなくなる、社会奉仕活動にも積極的に参加するようになったという報告もあるようです。 STEAMは、より創造的な感覚を呼び起こし、理論を超えて、現実世界や専門分野が互いにどう関連し機能しているかを考えることにあります。 学校で習った勉強が実生活にどう役立つのか、先生や親から『将来、必要になる』と教えられて来た大人も、いまだその“つながり”を理解できていない面も多くあります。また、能力やスキルの傾向として「文系・理系」といった区別を用いますが、今日の教育プログラムの中で知らず知らずに自身を方向づけてしまう弊害的な概念ともいえます。 芸術を重視したSTEAMのアプローチによる継続的な教育によって、子どもの豊かな人間性や、これからのテクノロジー時代においてもAIでは決して対応できない「人間らしさ」を育み、5つの分野をクリエイティブな方法で統合することで、自他ともに認識していなかった能力への気付きや新しい可能性への鍵になるものと考えます。

引用元:
Left Brain Craft Brain|”What is STEAM and Why is it Important?”

Babble Dabble Do|”Do you want to raise kids who are passionately curious and creative?”

Robo Wunderkind|”What is STEAM education and why is it so essential for children?”

STE(A)M TRUCK|”The History and Importance of STEAM Education”

書籍「Stem, Steam, Make, Dream」Christopher Emdin PH D (著)

コロナ時代のオンライン塾・家庭教師えらび【スタスタ】|STEAM教育の国内・海外事例を徹底解説

文部科学省|STEAM教育等の各教科等横断的な学習の推進

朝日新聞 EduA|STEAMの「A」って何?

※これらの記事を翻訳または編集し、文章を引用、内容の整理・図式化したものを掲載しました。

Society5.0とSTEAM教育

2021年の「第6期科学技術・イノベーション基本計画」において、「持続可能性と強靭性を備え、国民の安全と安心を確保するとともに、一人ひとりが多様な幸せ(well-being)を実現できる社会」としてのSociety 5.0を再定義し、その実現を目指しています。 Sosiety5.0とは、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。 昨今、必ずしも多くの人は実感していなかったデジタル化の波も、コロナ禍において広まったオンライン環境の急速な普及によってその影響力を目の当たりにしました。それに加えて、AIの飛躍的進化等により、わたしたちの生活もDX(デジタルトランスフォーメーション)による変化が始まっています。人間中心のSociety 5.0時代において、人としての強みを活かしていく上では、一人ひとりが当事者意識を持ち、他者と協働しながら新たな価値創造を生み出すことが求められ、これまでの工業化社会とは違う「思考・発想」が求められています。 世界の研究や技術開発の目的の軸足が、一人ひとりの多様な幸せ(well-being)に移りつつある中、開発された技術や研究の成果は、人間に近づき、より身近なものになってきています。また、コンピュータの急速な進展により科学的手法が新たに広がり、サイエンス由来のイノベーションが人々の生活を一変させる社会構造になっている今、科学・数学に関する基礎的な力は、一部の専門家のみでなく、市民的素養として、社会構造や社会課題解決の仕組み等を理解し、活かしていくために必要なものとなってきています。 現代の複雑に事象が絡み合う社会課題の解決に科学技術の力は欠かせませんが、より人間社会との調和的な科学技術の社会実装が肝となります。社会で新たな価値創造を高めていくためには、俯瞰的な視野で物事をとらえ、分野横断的、多様な「知」の集結、「総合知」が必要となるでしょう。 そこで、サイエンスをベースに、異分野への興味関心、多様な知の受容力、社会的文脈や社会的課題への感覚を養う「STEAM教育」は、まさにこの課題解決・価値創造に向けたプロセスそのものであり、初等中等教育段階からの分野横断的な学び・STEAM教育の重要性が増して来ています。 OECD(経済協力開発機構)では、個人と社会のwell-beingを実現していくためには、子供たち一人ひとりが「エージェンシー*5」を発揮しながら、 ①新たな価値を創造する力 ②対立やジレンマを克服する ③責任ある行動をとる力 という3つの「変革をもたらすコンピテンシー*6」を身に付けていくことが重要だと指摘しています。特に、①については、「現在存在するイノベーティブな人や社会を構成する要素や質といったものは、教育システムの成果というよりは副産物(by-product)に過ぎなかったのではないか」とOECDは指摘しており、その力を引き出すための人的・物的環境の整備を含めた学校教育の質的転換が求められています。 これらの力を育むためには、探究・STEAM教育や総合的な学習の推進が重要な鍵となります。その際、例えば、理科の学習過程では、課題の設定、仮説の設定、検証計画の立案、そして観察・実験の実施、結果の処理、考察・推論、表現・伝達などというプロセスを経ることになり、これらの本質的な各教科の学びこそが、総合的な学習や探究・STEAM教育の基盤となります。また、教育課程の在り方自体においても、「T:technology」、「E:engineering」といったテクノロジーや工学的な視点に立ち、問いを立てて、道具やテクノロジーを活かして具体的に形造る実装・実践のプロセスの重視が必要であり、これらを通じて、新しい時代に必要な資質能力の育成を目指していくことが重要なのです。
*5 )エージェンシー… 自分の人生および周りの世界に対してよい方向に影響を与える能力や意志を持つこと。
*6 )コンピテンシー… 職務や役割において優秀な成果を発揮する行動特性。
引用元:
内閣府|Society5.0とは
Society 5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ(2022年6月2日)|1.社会構造と子供たちを取り巻く環境の変化

※これらの記事を編集し、文章を引用、内容の整理・図式化したものを掲載しました。

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